CTスキャン過信は禁物 肺の初期がん発見の有用性に疑問 

CTスキャン過信は禁物 肺の初期がん発見の有用性に疑問 

4月19日付の医学誌「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」に掲載された報告によると、肺がん検査におけるCTスキャン(またはCATスキャン。コンピューター断層撮影)診断の誤診率は通常のX線検査に比べて2倍以上の33%だった。調査を行ったのは「米国立衛生研究所」の研究員、ジェニファー・クロスウェル氏が率いる研究チーム。

 患者に低線量の放射線を照射するCTスキャンは早期の肺がん発見に効果があるとして、医師、病院、患者グループに支持されてきた。米国では2009年に15万9390人が肺がんで亡くなっており、その数は他のがんによる死亡者数を上回っている。肺がんは初期の段階で発見されないと治療が困難な病気だ。

 そのため「誤って陽性と診断されることで、がんではないのに外科手術を受けてしまう可能性がある」とクロスウェル氏は語っている。

 喫煙経験のある3190人を対象にした今回の調査の結果、1回だけCTスキャンを受けた患者の擬陽性診断リスクは21%。対してX線検査の場合は9%。2回CTスキャンを受けた場合のリスクは33%。一方、X線は15%だった。

 擬陽性と診断された患者が継続処置を受けた割合はCTスキャンが7%、X線検査が4%だった。一般的な継続処置は気管支鏡検査で、内視鏡をのどから挿入して肺の組織サンプルを採取する。
米国がん協会と米国肺協会は、肺がんを発症するリスクが高く自覚症状がない患者に対してCTスキャンやX線検査で診断を行うことを勧めていない。

 08年、サンフランシスコの患者会「ボニー・J・アダリオ・肺がん財団」はアトランタ、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコの各地で「CATスキャンを要望する」キャンペーンに資金を提供。肺がんに対する認識が高まるよう、バス、トラム、地下鉄に広告を出した。例えばこんなメッセージだ。「CTスキャンは肺のマンモグラムのようなもの」

 過去にいくつかの調査報告書が「CTスキャンは肺がん発見に有用」だとほのめかしているが、初期のCTスキャン診断によって肺がんの死亡者が減ったという厳密な臨床試験結果は一つも報告されていない。米国立がん研究所は現在、5万3000人の喫煙経験者を対象にした大規模臨床試験を実施中。CTスキャンとX線検査のどちらがスクリーニング検査として効果があるのか検証中で、結論が出るのは2、3年後の予定となっている。(ブルームバーグ David Olmos)

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