がん医療充実へ 新始動

がん医療充実へ 新始動

●「勉強会」10周年機に改称

 がん医療の後進県とされる奈良。県内に無かった終末期患者の医療施設「ホスピス」開設を求めて発足した「県ホスピス勉強会」が今年、10周年を迎える。ホスピス開設はひとまず実現したものの、県内でがん検診受診率が向上しないなどの課題も浮上。活動の幅を広げていくため4月、「奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会」に改称し、がん医療充実を草の根で訴え続ける新たなスタートを切った。(岸上渉)

 会長の馬詰(ばづめ)真一郎さん(94)は70歳のとき、2歳年上の姉を肺がんで亡くした。最期をみとろうと駆けつけた病院で目にしたのは、姉の体に馬乗りになった医師が心肺蘇生をする光景。「姉に必要だったのは無理な延命より、姉らしく死なせてあげることではなかったか」と考えた。そんな経験から末期がん医療に関心を持つようになった。

 ◇仲間募って発足

 10年前、講演会で全国各地に「ホスピス」ができているのに、奈良には一つもないことを知った。さっそく勉強会を作り、インターネットで仲間を集めたところ、翌年には患者や家族ら150人が集まった。

 他府県の先進事例を学びながら、02年にはホスピス設置を求める3万8千人分の署名を集め知事に提出。05年、願いがかない、田原本町の国保中央病院に県内初のホスピス(20床)ができた。

 ◇検診受診向上を

 全国47都道府県で奈良だけ唯一未策定だった「がん対策推進計画」が昨年12月、ようやく完成した。馬詰さんはその計画案を検討するワーキンググループに患者委員として参加した。

 検討過程で医療関係者から、国の計画で基準とされる、がん検診受診率50%が「奈良では実現できない」とする声が出た。「検診を実施する市町村が定員や日時などの間口を広げれば、達成できるはず」と馬詰さんは考え、会の活動を検診充実などに広げていくことにした。

 ◇23日フォーラム

 計画を実際に進めていくための「がん対策推進協議会」は、まだ立ち上がるめどが立っていない。「協議会が開かれないと、計画ができても何も動かない」。そこでまず、民間から声を上げようと、50回目の勉強会「市民公開がんフォーラム」を23日午後1時から奈良市の県文化会館で開く。緩和ケア専門医師、患者団体代表ら、がんの終末医療の現場をよく知る4人が、県内のがん医療の現状について意見を交わす。参加者にはアンケートを実施し、結果をまとめて県などに提出する。

 「県内でがんで死ぬ人は年間約4千人。がん対策推進計画の理念は、どこの地域にいても同じ医療が受けられることなのに、ホスピスが20床では足りない」と馬詰さん。移転、改築予定の公立病院へのホスピス設置を今後もとめていくきっかけとして「署名活動も検討してみたい」と話す。

 ◆たかはし・ひでお 1951年東京都生まれ。八百屋の他、エッセイスト、記録映画作家などの顔も持つ。八百屋の隣にはカフェがあり、ジャズライブや、高橋さん自身による朗読会などが定期的に開かれている。詳しくはブログ(http://yaoyaro.exblog.jp/)で。

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