がんと闘いながら「命の授業」を続ける

がんと闘いながら「命の授業」を続ける

「きょう話した大事なことはなに?」。問いかけると、次々に答えが返ってきた。「感謝」「尊敬すること」「夢を持つこと」。

 「その三つを大事にしてほしい。人生は限られている。今を輝かせてください」

 7日、飯舘村の公民館。集まった地元の児童ら約150人を前に身ぶり手ぶりを交えて話し続けた。血液のがん「悪性リンパ腫」を患いながら、講演やDVDを通じて、「命の大切さ」を訴えている。

 45歳の時だった。左脚のすねに激痛が走り、骨の中に腫瘍(しゅよう)が見つかった。教べんを執っていた富岡第一中学校を9か月間休職し、放射線や抗がん剤治療を受け、職場復帰を果たしたが、復帰から約1年後、再発。「人生が音を立てて崩れる実感があった」。

 いったん、退院したものの、再び発病。「落ち込んだけど、妻と2人の娘の明るさに救われた」。今は自宅で闘病生活を続けている。

 2年前のことだ。発病して以降、双葉町から宮城県名取市の入院先まで毎日のように励ましに来てくれた父が亡くなった。「俺が、お前の病気を持って行くから」。そんな言葉を残して逝った。

 「父が、病床で身をもって『死とは何か』を教えてくれた。まだこうして生きている。一日一日を大切に生きなくちゃ」

 自分の「生」をどう全うすべきか。考え抜いた末、「限りある命の素晴らしさを伝えていこう」と決めた。

 講演活動を始めたが、しばらくすると、新型インフルエンザが流行し始めた。感染は死につながるため、学校での講演は控えざるを得ない。それでも依頼が途絶えることはなかった。「仲間を通じて思いを伝えたい」。DVDを作った。

 「人は一人で生きているんじゃない。家族や友人を通じてたくさんの人とつながっている。だから大切な存在なんだ」。約20分間、カメラの前で諭すように語りかける。年代に合わせて伝わりやすいように言葉を変え、小学生用、中学生用、保護者用2種類の計4種類を作成した。

 元同僚や教え子が、DVDや自身の随筆・詩集を教材に「命の授業」を始めた。「勇気をもらった」「命の大切さを感じた」。届いた感想文は1000を超えた。

 病気になってよかったことがある。発病して、命ははかないものだと知ったとき、初めて、「周りの景色の美しさ」に気づいた。「人生を見つめ直す時間ができ、改めて家族や友人への感謝の気持ちを思い起こすことができた。病気と出会ったから教え子と再会でき、応援してくれる人とも出会えた」。

 講演の予定を入れるのは、2、3か月先までにしている。「それ以上は生きていられるか分からない」から。

 「今まで元気をもらった分、誰かに分けてあげたいと思う。元気じゃない人に元気出せよと言われる方が、頑張ろうと思えるでしょう。支えてくれた人たちへの恩返しになれば」 (大原圭二)

     ◇

 双葉町在住。9月に県立医大で行われる、がんと闘うための寄付イベント「リレー・フォー・ライフ2010in福島」への参加を目指す。DVDと書籍は三本杉さんの友人のブログ「あなたに元気をあげたくて!!」のゲストブックのぺージ(http://blogs.yahoo.co.jp/y58122001/MYBLOG/guest.html)で紹介されている。

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