耳・鼻・のど 耳下腺腫瘍:1 何げなく触ったほおにこぶ

耳・鼻・のど 耳下腺腫瘍:1 何げなく触ったほおにこぶ

 「斉藤さん、わかりますか」。看護師の声で麻酔からさめた。

 今年2月12日。名古屋市の愛知県がんセンター中央病院で、私は耳下腺腫瘍(しゅよう)の切除手術を受けた。耳下腺とは、耳横から下部にある唾液(だえき)を出す器官。耳下腺内を顔面神経が走っている。腫瘍や手術の状況によっては顔面まひを起こす可能性が指摘されていた。

 「顔はどうなった」。ストレッチャーで病室に戻る途中、そればかり考えていた。窓の外の光がまぶしかった。

 異変に気づいたのもまぶしさの中だった。東京・神宮球場のカクテル光線。2001年5月31日夜、東京本社学芸部の記者だった私はヤクルト―巨人戦を観戦していた。ひいきのヤクルトが9回、稲葉篤紀選手(現日本ハム)の満塁本塁打でサヨナラ勝ち。一緒に行った友人と喜び合い、何げなく触った左ほおに、直径2センチほどの異物を感じた。

 「何だろう。脂肪の塊かな、骨かな」

 しばらくして行った会社の診療所では結核を疑われた。しかし、結果はシロ。

 痛みもなく、大きくもならなかった。念願だった映画担当の仕事に追われ、茨城県のつくば支局長への転勤もあって、異物のことはすっかり忘れていた。03年秋、風邪と思われるのどの痛みなどで行った近所の耳鼻科医院で、思いもよらぬことを告げられる。

 「耳の下のこぶ、腫瘍ですよ」

 「え!」

 「大きな病院で診てもらってください」

 数週間後、私はつくば市の筑波大付属病院の耳鼻咽喉(いんこう)科を受診した。

 診察した医師は耳下のこぶをさわった後、「ちょっとおちょぼ口にしてみてください。それからイッーと広げてみてください」。何が何だかわからないまま口を動かす。

 「耳下腺腫瘍だと思います。顔面まひがないようなので、それほど悪いものではないようですが、まずは検査をしましょう」

 「耳下腺腫瘍」って、何なんだ?

     ◇

 耳下腺腫瘍で手術を受けた記者が体験をつづります。(斉藤勝寿)

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 さいとう・かつひさ 64年生まれ。87年入社。川崎支局、東京本社整理部、学芸部、つくば支局長、富山総局次長などを経て名古屋本社報道センター(文化)次長。

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