Dr.中川のがんから死生をみつめる:/56 10代女性にワクチンを

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子宮頸(けい)がんは、乳がんと並んで、若い女性のがんの代表です。その原因のほぼ100%が、性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。

 このウイルスは、8割近くの女性が感染経験を持つ、ありふれたものです。感染しても、がんにつながる確率はごくわずかです。しかし、逆に、性行為をするすべての女性に、子宮頸がんのリスクがあるともいえます。

 そのHPVへの感染を予防するワクチンが開発されています。

 ウイルスに感染する前の10代前半の女子に接種するのが一番効果的ですが、成人女性でも、有効とされています。HPVには多くのタイプがあり、このワクチンが、すべてのウイルスに有効というわけではありません。それでも、ワクチンによって子宮頸がんのリスクは、3~4割まで下げられると考えられています。

 このワクチンに加えて、がん検診を行えば、子宮頸がんで命を落とすことはまずなくなります。かつて、天然痘が撲滅されたように、子宮頸がんは防げる病気になったのです。

 しかし、日本は残念ながら、子宮頸がんの予防でも、欧米に後れをとっています。国内の子宮頸がん発症は年間約1万5000人、死亡者は約3500人に上ります。

 何度もお話ししてきましたが、まず子宮頸がん検診の受診率が、欧米は8割と高いのに対し、日本は2割程度にとどまっています。

 HPV予防ワクチンも、欧米では、公費負担で12歳前後の女子に接種するのが常識です。たとえば、オーストラリアでは、12歳と13歳のすべての女子を対象に、学校で接種が実施されています。全額公費負担で、個人の負担はありません。イギリスなどでも同様です。

 ワクチンは、日本でも昨年ようやく認可されましたが、4月時点で、接種の公費助成を実施している市区町村は約30にとどまります。また、ワクチンのほとんどが、20~30代の女性に接種されているのも、時期が遅すぎ、大きな問題といえます。

 学校でがん教育をきちんとしたうえで、10代前半でのワクチンの接種を進める必要があります。

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