えひめリポート:がん患者のネット利用 最新情報求め1日数時間 /愛媛

えひめリポート:がん患者のネット利用 最新情報求め1日数時間 /愛媛

◇病との向き合い方が鍵
 ◇何が真実か・何が必要か、見極める力を
 がん患者やその家族が、治療法などの情報を探すツールの一つとしてインターネットが使われている。ネット上には、最新の治療法から民間療法、健康食品の宣伝、患者の治療体験まで、情報があふれている。欲しい情報を自ら探せる利点がある一方で、真偽や、どれを選んでいいか分からないなど、命にかかわるだけに情報に対する渇望感と不安感が切実に交錯する。インターネット社会におけるがん患者の現状の一端を報告する。【柳楽未来】

 県内に住む膵臓(すいぞう)がん患者の女性(40歳代)は毎晩、食事が終わると自宅でパソコンに向かう。検索サイトに「がん」「医学論文」などのキーワードを打ち込み、長い日で4時間、最新の治療法や病院を検索。画面をじっと見つめる。

 告知されたのは07年秋だった。既に末期で、標準的な外科手術、放射線治療は難しく、残る抗がん剤治療も、思うような効果が出なかった。「やれるだけの可能性を探りたい」と、病室にノートパソコンを持ち込んだ。夕食が終わるとベッドの上で寝るまで、インターネットで臨床試験で効果を検証している段階の治療法などを探すようになったという。

 ある民間会社が運営するがん情報のインターネットサイトは、1カ月で約30万回のページビューがある。臨床試験や新しい抗がん剤の情報などが掲載されており、同社の調査では閲覧者の約6割が患者と患者の家族。40歳代の利用が最も多い。

 一方で、患者自ら情報を選び取っていかなければいけない現状がある。「何が真実なのか、何が自分に必要なのか、見分けるのは至難の業」と前述の女性は話す。がん情報の提供をしているNPO法人「キャンサーネットジャパン」(東京都)はインターネットサイト「がん情報・net」を運営し、独自の評価基準を通過したがんに関するインターネットサイトを紹介している。その基準は、医療情報の不確実さの明記や、記載内容の責任者明示の有無などだ。

 女性は、がんを告知された約2年半前にブログを始めた。治療の経過や不安を書き連ねると、励ましのコメントが返ってくるようになり、闘病生活を少し前向きにしてくれた。しかし昨年末、更新をやめた。見た人が自分と同じ治療を選ぶことに怖さを感じた。「誰かに効いたという情報に飛びつくべきでないと思うから」。ネットで情報を探し出し治療を続けてきた中で、簡単に誰でもアクセスできるネット上に命の重さを載せることに、躊躇(ちゅうちょ)を感じるようになったからだ。

 ネット上でがんの情報があふれる今。正しい情報を見極める力と同時に、自分がどうがんと向き合っていくかという姿勢こそが求められているように感じる。

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