耳・鼻・のど 耳下腺腫瘍:6 情報編 良性でも手術

耳・鼻・のど 耳下腺腫瘍:6 情報編 良性でも手術

耳下腺とは唾液(だえき)腺の一部で、三角形の器官だ。唾液腺腫瘍(しゅよう)の多くが耳下腺にでき、その大部分が良性の多形腺腫とされる。

 長い間、痛まず、大きくならないケースがある。私は耳鼻科医に指摘されるまで気付かなかった。池下ファミリー耳鼻科(名古屋市)の西脇知子(にしわきともこ)院長は「開業して3年半ですが、のどの触診などをしていて腫瘍を発見したケースがいくつかあります。みなさん『治療が必要なの?』という反応です」と話す。

 耳下腺腫瘍が疑われた場合は、細胞診、超音波、磁気共鳴断層撮影(MRI)などによって、良性か悪性かを判断する。ただし、どれも確定診断には限界があり、最終的には切除した腫瘍を病理学的に判断するしかない。

 愛知県がんセンター中央病院の長谷川泰久・頭頸(とうけい)部外科部長は「検査で良性と判断して手術に入ったら悪性だったケースもあります。さらには手術中の迅速診断でも判断できない場合もあるのです」と話す。

 多形腺腫は、長い間に一部が悪性に変わる例があることが指摘されている。腫瘍が急に大きくなったり、痛みが出てきたりしたら、悪性を疑う。さらに耳下腺内には顔面神経が走っており、悪性の場合は腫瘍が顔面神経に浸潤、顔面まひを起こす可能性が高い。ただし、赤ちゃんの頭ぐらいに大きくなっても良性だったこともあるという。

 良悪を問わず、摘出手術がまず選ばれる。良性の場合は顔面神経を損傷しないようにする。長谷川医師は「良性でも腫瘍の大きさ、場所によっては顔面神経に触ることになるので、顔面まひが起こることもあります。でも神経を切断していないので、時間がたてば回復する可能性は高いです」。

 悪性の場合はその度合いによって手術方針が異なる。悪性度が低ければ、良性の場合に準じて顔面神経を温存し、周囲の正常な組織とともに摘出する。中程度以上なら、顔面神経を含めて耳下腺を全摘出し、リンパ節など周囲の組織も摘出することが多い。さらに顔面神経を切除した部分に首や足の神経を移植して再建する手術も行われる。

 手術が難しい場合もある。筑波大付属病院の原晃・耳鼻咽喉(いんこう)科教授は「悪性腫瘍が頸動脈や頭蓋(ずがい)内に浸潤していると、手術が困難になります。その場合は抗がん剤や放射線を使用することになります」と説明する。

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