子宮頸がん:県、予防ワクチン接種費用の一部助成へ 都道府県で2例目 /山梨

子宮頸がん:県、予防ワクチン接種費用の一部助成へ 都道府県で2例目 /山梨

予防できる唯一のがんとされる子宮頸(けい)がんの予防ワクチンについて、県は18日、接種費用の一部を助成する方針を決めた。全国で40程度の市町村が助成制度を設けているが、都道府県による助成は東京都に次いで2例目とみられる。【曹美河】

 ◇県内13市で実施決まる
 昨年末に始まったワクチン接種は1回1万5000円程度。これを3回接種する必要があり、高額な費用が普及の壁になっている。

 県の案では、接種への助成制度を設けた市町村に対し、接種者1人につき1万5000円を上限に助成する。今年度は小学6年と中学3年を対象とする方向で調整中。財政難で助成に二の足を踏む市町村を促す意味もある。

 県の方針を受け、18日に開かれた市町村と県との会合では、県内13市すべてが助成制度を設けることで一致。このほか市川三郷、小菅、山中湖の3町村もすでに助成方針を決めている。

 6月開会の定例県議会に必要経費を盛り込んだ補正予算案を提出する。対象学年の半数程度の接種を目標とし、予算額は約6000万円となる。

 子宮頸がんは、性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が主原因で発症する。予防ワクチンは性交を経験する前の10代前半で最も効果があり、発症リスクを7割軽減できるとされる。

 ◇「画期的な一歩」 当事者、公費負担方針を歓迎
 「これ以上私と同じ思いをする人を増やしたくない。画期的な一歩だと思います」。3年前に子宮頸がんを告知された30代の女性、香織さん(仮名、県内在住)は、県によるワクチン接種の公費負担の方針を歓迎する。

 香織さんは07年7月、30代前半で子宮頸がんと診断された。職場で生まれて初めて受けた人間ドックがきっかけだった。それまでがん検診は受けたことがなかった。

 「がんなんて、自分とは全然関係ない世界の病気だと思ってました。『まさか自分が』って」

 現実感がないまま同年8月、子宮頸部の一部を切除する手術を受けたが、進行していたため、がん細胞が残ってしまった。

 「(子宮を)全摘出しましょう」。8月25日、真っ白な壁に囲まれた診察室で医師からこう告げられた後、どうやって家までたどり着いたのかよく覚えていない。1人で実家のトイレにこもり、何時間も泣いた。

 香織さんは当時、交際していた男性との結婚、出産をぼんやりと意識し始めていたころだった。「死ぬかもしれない。でもそのことよりも、子供が産めなくなるという現実を受け入れることができませんでした」

 テレビから子供の映像が流れれば無意識にチャンネルを変え、恋人とも距離を置くようになっていった。

   ◇   ◇

 香織さんは今、再発の不安を抱えながら、がん予防の啓発活動に取り組んでいる。予防ワクチン接種と定期的な検診の普及で、社会全体で病気への理解を深めることが必要だと考えている。

 香織さんの場合、セカンドオピニオンを求めて訪れた東京都内の病院で1回目より広い範囲で頸部を切除する手術を受け、子宮を残したままがん細胞を取り除くことができた。

 「私なんて、とても恵まれていた方なんですね。もっとつらい思いをしている人は大勢います」。それでも、手術後しばらくは毎日のように再発の夢にうなされ、一時期はうつとも診断された。

 「自分は大丈夫。今そう思っている人にこそ、予防の大切さを知ってほしい」。香織さんはそう願っている。

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