がん対策条例制定へ機運 患者の声映し24条

がん対策条例制定へ機運 患者の声映し24条

全県的ながん対策の推進などを定める条例制定に向けた動きが活発化している。琉大病院を中心に医療関係者や行政、患者らでつくる「県がん診療連携協議会」の部会で素案づくりが進んでおり、6月の同協議会で審議し、県知事などへ要請を行う予定。4月に発足した県がん患者会連合会(田名勉会長)も「県民の死因の1位はがん。だれでもがんになる可能性がある。一日も早い制定を」と訴え、県知事や県議会などへの陳情活動を行っており、機運が高まりつつある。(社会部・赤嶺由紀子)

 「離島では放射線治療は受けられない。本人も家族にとっても経済的負担も大きい。行政のバックアップがほしい」

 16日、琉大病院がんセンターが那覇市内で開いた講演会。フロアの女性が切々と訴えた。

 県がん患者会連合会の上原弘美事務局長は「患者は治療を続ける中で常に金銭面の不安を抱える。治療費だけでなく、交通費や生活費もかさむ。家族に迷惑をかけないかとか、このまま治療を続けていいのかという悩みもある」と説明する。

 医療費の窓口負担が一定額を超えたときに払い戻しを受けられる高額療養費制度もあるが、県外に出向いて治療を受けるケースもあるといい、治療費以外の負担も本人や家族にとって大きい。治療で仕事を辞めざるをえなかったり、再就職が難しいなどの問題もあるという。

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 同連携協議会のがん政策部会が作成した素案は、患者らの意見を取り入れた24条からなる。患者団体への支援や経済的負担の軽減、就労支援、地域の特性に応じたがん研究の推進、緩和ケア、在宅医療の推進―などを明記した。

 琉大病院がんセンター長の増田昌人医師によると、県内の人口10万人当たりの結腸がんの死亡率(2008年)は全国ワースト3位。子宮がんの死亡率もワースト2位となっている。増田医師は「沖縄に特に多いがんもあり、県の特性に合わせたがん対策が必要」と話す。

 全国では島根県を皮切りに8県2市が、がん対策推進条例を制定。県や医療関係者、県民の責務のほか、予防と早期発見の推進、医療の充実、患者への支援―などを盛り込んでいる。

 「条例をつくることで、がんに対する意識が変わってほしい。行政が施策を進める上でも、後押しになると思う」。上原事務局長は制定の意義を強調する。

 増田医師も「離島で放射線治療が受けられないなど、政策医療としての冷静な議論も必要。条例は医療者側にとっても意識改革につながる」と話している。

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