子宮頸がん 啓発元年 ワクチン接種、検診呼びかけ

子宮頸がん 啓発元年 ワクチン接種、検診呼びかけ

 子宮頸(けい)がんの予防や検診受診を呼び掛ける啓発活動が活発だ。昨秋、日本でも予防ワクチン接種が開始され、正しい知識を広めようと医療関係者や経験者らが声を上げている。 (野村由美子)

 名古屋駅前の商業ビル地下のオープンスペース。「子宮の日」の四月九日、金曜日で人通りの多い夕方、モデルの冨永愛さんの姿に、多くの若い女性が足を止めた。

 NPO法人「子宮頸がん啓発協会」(名古屋市)が進める「Think Pearl(シンク パール)」プロジェクトのトークショー。冨永さんは自らの検診受診を報告し「ワクチンは娘さんの初潮のお祝いに贈ってあげても。予防できるなら最善をつくしたいですね」と語りかけた。

 会場では、産婦人科医による解説や免疫力をアップさせる食事などの講座も開催。子宮頸がんで今年手術を受けた理事長の難波ミチヲさんは「体験を伝えることで行動してくれる人が増えてくれたら」と期待する。勉強会開催のほか、希望する全国の子宮頸がん経験者を「シンクパール大使」に任命。啓発にかかわってもらう。

 二十代の患者急増を懸念した医療関係者や市民らで二〇〇四年から活動するNPO法人「子宮頸がんを考える市民の会」(東京都千代田区)はこの日、「LOVE49(しきゅう)プロジェクト」と銘打ちダンスイベントを都内で行った。子宮頸がん体験者でもある女優の三原じゅん子さんをゲストに、参加した二百人に検診とワクチン接種の大切さを訴えた。

 副理事長で細胞検査士の高山須実子さんは「ワクチンの注目度は高く、ワクチンさえ打てば大丈夫という誤った理解もある。予防には検診も併せて行うことが必要だと正しい情報を伝えたい」。医療関係者や自治体職員ら向けのセミナーも計画する。細胞検査士会も「LOVE49」をうたい、二十八都道府県四十カ所の街頭で資料を配った。

 ラジオ局「TOKYO FM」は、予防啓発プロジェクト「Hellosmile(ハロースマイル)」を今年スタート。伊藤由奈さんら若い世代に人気の女性歌手のライブを都内で開き、千八百人が参加した。サンリオが横顔のハローキティを応援キャラクターとして提供。番組などでも啓発を続ける。

 啓発以外の取り組みも進む。産婦人科医らがつくる「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」は、検診やワクチン接種の公費助成への働き掛けや調査も実施。体験者らが中心になり「わかちあいの会」などを開く「ティール&ホワイトリボンプロジェクト」や、大学の健康推進センターで学生へのワクチン接種を予定する東海大学などの活動もある。患者相談などを行っている「日本対がん協会」も子宮頸がん対策を今年の重点目標に掲げる。

 いずれもホームページで子宮頸がんに関する情報を分かりやすく伝えている。「今年は子宮頸がんの“啓発元年”。総力戦で広めたい」と高山さん。六月には各グループが活動の報告会も開く。

<子宮頸がん> 子宮の入り口、頸部にできるがん。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因。性交経験のある女性の約8割は一度は感染するといわれる。大半は免疫で自然に排除されるが、残りは持続感染し、ごく一部ががんになる。がんになる前に異形成の細胞ができ、検診で発見・予防しやすい。初期ならほぼ100%完治できる。近年、結婚・出産、子育て期の20、30代の患者が急増している。

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