iPS細胞から大量リンパ球 がん治療、マウスで成功

iPS細胞から大量リンパ球 がん治療、マウスで成功

がん細胞を攻撃するリンパ球の一種から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、このリンパ球を大量に増やすことに、理化学研究所のチームがマウスで成功した。増やしたリンパ球をマウスに戻すと、皮膚がんの成長が抑えられた。自分の細胞由来なら拒絶反応が起きないため、チームは人のがん治療への応用に向けて研究を進める。

 増やしたリンパ球は「ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)」という細胞。血液中にわずかしかなく、体外で培養することも難しい。

 理研の渡会浩志上級研究員らは、iPS細胞を利用してNKT細胞を大量に作れば、がんの免疫療法に使えると考えた。まずマウスの皮膚細胞から作ったiPS細胞を増やし、リンパ球へと誘導してみた。すると色々な種類のリンパ球ができたが、NKT細胞はほとんどできなかった。

 そこで脾臓(ひぞう)から採取したNKT細胞を使ってiPS細胞を作り、これをもとに分化させると、NKT細胞だけができた。iPS細胞自身が、NKT細胞になるための特有な遺伝子の並びをそのまま受け継いだとみられる。NKT細胞は1万倍まで増やせた。

 体内にあるNKT細胞を働かなくした皮膚がんのマウスに作ったNKT細胞を入れると、がんの成長を5分の1~10分の1に抑えることができた。

 iPS細胞を作る際にウイルスを使っており、人のリンパ球で研究するには安全面などで課題が残っている。研究成果は米医学専門誌7月号に発表された。

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


iPSで免疫力強化、皮膚がんマウス大幅に延命 »
« 万能細胞からリンパ球=抗がん治療に応用期待-理研