がんと闘い、36歳逝く 闘病記著者・盛岡の高橋さん

がんと闘い、36歳逝く 闘病記著者・盛岡の高橋さん

 闘病記「がけっぷちナース~がんとともに生きる」などを通じ、多くの人を励ました盛岡市立病院の看護師高橋(旧姓山内)梨香さんが1日午後2時27分、肝不全のため同病院で家族らに見守られながら安らかに息を引き取った。乳がんと闘いながら、最後まで看護師復帰を望み続けた。日ごろ口にしていた「今を濃く生きたい」の言葉通り、36年の人生を駆け抜けた。

 5月に2冊目の手記「奇跡のウエディング」を出版し、「病気じゃなくても生きていれば大変なことがある。幸せをあきらめてしまっている人にあきらめないでという強い願いを込めた」と語っていた高橋さん。

 同月16日、盛岡市内の書店で開かれた出版記念サイン会では、昨年11月に結婚した夫正さん(31)と笑顔を見せ、多くの来場者と交流を楽しんだ。

 数日後に入院し、医師には「1週間がヤマ」と言われたが、それを上回る時を過ごし、眠るような表情で旅立った。

 岩泉町出身。神奈川県の病院で看護師としてのスタートを切った。乳がんであることが分かったのは盛岡市立病院に勤務していた2005年。左胸の内側、心臓の上辺りに鋭く差し込むような痛みが走った。

 転移や再発を繰り返す中、家族や友人、同僚、恋人と多くの人に支えられていることに気付き、初の手記「がけっぷちナース」を出版。「がんになっても、転移していても、元気に生きられる」というメッセージは、がん患者に大きな勇気を与えた。

 昨年5月に発足した乳がんの啓発団体「いわてピンクリボンの会」では副会長を務め、「もう少し早く受診していたら違う人生があったかもしれない」と啓発キャンペーンの先頭に立った。

 同会の仁昌寺幸子会長(一戸町)は「体験を通した言葉には説得力があった。自分のつらさや悲しさを乗り越え、命の大切さを発信してくれた勇気を受け継ぎたい」と悲しみの中で思いを強くする。

 梨香さんの父山内義広さん(63)=岩泉町=は「思いやりのある子で、今回の入院も、病を抱えた親を気遣い、自分からは連絡してこなかった。頑張りすぎる娘にブレーキをかけてきたが、これが梨香の生きざまだったと納得している」と悲しみをこらえる。

 最後まで献身的に付き添った正さんは「主治医の予想に反し、別れの時間を長くつくってくれた。人を引き付ける力が強く、それをナチュラルにできた人だった」と半年間の結婚生活をかみしめた。

 高橋さんの自宅は盛岡市下太田沢田。火葬、葬儀は未定。

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