Dr.中川のがんから死生をみつめる:/59 女性の患者多い30~40代

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/59 女性の患者多い30~40代

がんは男性に多い病気です。2008年にがんで死亡した日本人は34万2963人、そのうち男性が20万6354人、女性は13万6609人ですから、男性は女性の約1・5倍になります。

 背景には、生活習慣の男女差があります。特に、たばこの影響が大きく、女性の喫煙率が1割程度なのに対し、男性は減少しているとはいえ、4割近くに上ります。飲酒や食生活、運動の習慣を見ても、女性の方が、がんにならないライフスタイルを実践しているといえるでしょう。

 しかし、30~40代では話は別です。女性のがん患者数は、男性を大きく上回ります。30代の女性のがん患者数は男性の3・3倍、40代は男性の2・4倍に上ります。これは、性交渉によるウイルス感染が原因となる子宮頸(けい)がん(30代後半が最多)、女性ホルモンの刺激で増える乳がん(40代後半で最多)が、この世代で多く発症するためです。

 60歳以降になると、男性のがんが急増し、女性よりずっと患者数が多くなります。女性と男性では、がんになりやすい年齢が異なるのです。

 また、同じがんといっても、30~40代のがんと、80代になってからのがんでは、その意味合いが、少なからず違います。高齢になってから前立腺がんなどが見つかった場合、治療を始めず、経過を見る方がよいケースもめずらしくないのです。

 女性の場合、がんが多い年代が、子育てや仕事で一番忙しい時期に重なります。女性が仕事を持つことが当たり前となった今、このことは、がんを患い、治療に向き合わねばならない会社員の多くが、女性であることを意味します。

 一方、厚生労働省研究班の03年の調査によると、がんになった会社員の31%が依願退職し、4%が解雇されています。多くの女性のがん患者が、がんは治ったとしても、生きがいだった仕事を失う「社会的な死」に直面しているのです。

 実際は、放射線治療や化学療法の多くが外来通院で実施されています。放射線治療の場合、治療時間は数分ですみますから、仕事との両立も十分可能です。雇用する側の理解が望まれます。

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