小線源手術並み効果  子宮がんの5年生存率3倍

小線源手術並み効果  子宮がんの5年生存率3倍

がんの病巣に放射線をあてて小さくする「放射線治療」は、近年の技術革新で患部への高精度照射が実現し、治療効果が急速に高まった。「副作用が少ない」「手術を受けずにすむ」といった利点も多いことから、患者からも高い関心を集めている。最新の治療法や医療現場の取り組みなどを、島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)の放射線治療科長、内田伸恵教授(放射線腫瘍(しゅよう)学)に聞いた。(守川雄一郎)

 県がん診療拠点病院の島大病院では、1981年の開院直後から放射線治療を始め、年間約130人だった患者数も2008年度には約3倍の363人に増加した。治療装置と医療技術の向上で、患部に高質な照射が可能になった。病気によっては手術と変わらない治療実績を上げており、抗がん剤投与や手術の併用などで、患者にとって最も効果的な治療を行っている。

 「切らずに治す」ため、乳がんや喉頭(こうとう)がんなどでは身体の部位や機能を残すことが出来るほか、手術が受けられない高齢者や合併症患者の治療にも適している。通院治療もでき、日常生活の中での治療が出来る。患者の原発病巣(08年度)は、頭頸(けい)部(18%)、肺(16%)、泌尿器(同)、乳腺(15%)、婦人科(12%)など多岐にわたっている。

 島大病院では、外部照射装置と小線源治療装置を各2台設置し、高度治療にも対応。中でも、放射線を発する小線源を体内に入れて治療する小線源治療は高い効果を上げている。

 県内で唯一実施している子宮がんの小線源治療は外部照射との併用により、下腹部への外部照射に比べ5年生存率が3倍になるものだ。05年に山陰地方で初めて導入した前立腺がんのヨウ素シード永久挿入療法では、副作用と入院期間を減らし、転移などのないがんに対して手術同様の効果がある。これまでに約170人が治療を受けた。

 体外からX線などをあてる外部照射治療では、がんの形に合うよう放射線を変化させる高度放射線治療(IMRT)を昨年、導入した。放射線を高精度であてることで副作用が減り、患部への効果も高い。加えて、小児がんや目のがんなど症例の少ない病気の治療にも取り組んでいる。

 治療前後の生活の質の重視や高齢化の進行などで、ますますがんへの放射線治療の需要は高まるだろう。島大病院には専門医が5人いるが、県内の専門医不足と東部地域への医師偏在は大きな課題だ。離島や県西部の患者は、通院が困難なため仕方なく入院するケースも多い。医師や放射線技師らの育成が急務だ。

 これまでは患者に放射線被曝(ばく)や副作用への懸念が多く、手術出来ないときの代用品的扱いだった。放射線治療は安全で治療効果の高い、がん治療法の有効な選択肢になっていることをぜひ知ってほしい。

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