Dr.中川のがんから死生をみつめる:/60 治療と仕事の両立

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/60 治療と仕事の両立

 男性のがんが60歳以降に急増するのに対して、女性のがんは、20~50代にも多いのが特徴です。仕事を持つ現役世代では、女性の方がずっとがんになる人が多いのです。

 これまでお話ししてきたように、性交渉によるウイルス感染が原因となる子宮頸(けい)がん、女性ホルモンの刺激で増える乳がんが、若い女性で発症することが多いことが理由です。

 がん治療と仕事の両立を目指して活動する女性も少なくありません。クレジットカード会社のクレディセゾン(東京都豊島区)の人事部長を務める武田雅子さんもその一人。同社は、女性の管理職が非常に多い企業の一つで、武田さんも、課長として、人材開発と営業統括を兼務していました。しかし、激務の中で乳がんが見つかり、手術後は、放射線治療とホルモン治療を受けることになりました。ホルモン治療の副作用に苦しみながらも、周囲のサポートなどもあり、なんとか仕事のペースは落とさないですんだと言います。

 「働き続ける」を人事施策のテーマに挙げる武田さんは、08年に今のポストにつくと、就業規則を大幅に見直しました。傷病休職明けの復職者は最大で3カ月間、1~2時間の短い勤務時間で働けるようになったのです。「がんになったら、まず就業規則を調べること。あわてて辞める必要はない。がん患者が働ける会社というのは社の特色、武器にもなる」と語っています。

 「キャンサー・ソリューションズ」は、がん経験者らが中心になって事業を始めた会社です。がん患者の就労支援などに取り組んでいます。社長の桜井なおみさんは「がん患者の社会生活をめぐる問題については、何ら解決策が示されていない」と話します。たしかに、「がん対策基本法」の中では、患者の就労については触れられていません。

 私が非常勤で放射線治療の指導をしている江戸川病院(東京都江戸川区)は、午後10時まで「トモセラピー」を使った最先端治療を受けられます。「会社帰りに放射線治療が受けられる」と、現役世代の皆さんに特に好評です。仕事しながらがん治療を受けられる社会であってほしいと思います。

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