肝炎ウイルス検診が肝がん撲滅の第一歩!=横浜市民公開講座

肝炎ウイルス検診が肝がん撲滅の第一歩!=横浜市民公開講座

【PJニュース 2010年6月14日】「肝臓がん(もしくは肝がん)」は、肝臓に発生する悪性腫瘍の総称です。 肝臓がんは日本の男性のがん死亡で3位、女性では4位とがんの中でも上位の死亡率を占めています。国内のB型、 C型ウイルス性肝炎患者・感染者は350万人以上と推定さ れていますが、正確な数は把握されていません。厚労省は肝炎ウイルス検診の受診を勧めていますが、受診率は全国平均で10%程度と低く、検診の普及拡大が急務 です。

その生存率は、肝臓がんの段階によっても様々ですが、平均で1年生存率約80% 、3年生存率約50% 、5年生存率約30%と怖い病気です。6月13日(日)、B型C型肝炎の最新情報「肝がん撲滅運動について」と題して、横浜情報文化センター(横浜市中区)で市民公開講座が催されました。

横浜市立大学附属市民医療センター臨床研究推進センター 田中克明部長(消化器内科学)の講演があり、参加者は熱心に聞き入りました。参加者の多くは患者さんで、講師の一言ひとことに頷いていました。中でも高齢者の罹患率の高いC型肝炎に興味が高かったようです。

■C型肝炎の現状
肝炎の感染者は最大400万人と推定され、そのうちB型が150万人、C型が250万人といわれています。IFN(インターフェロン)治療が必要とされる患者は、現時点で約48万人です。横浜市のHBV、HCV陽性者の年齢分布をみると、「B型肝炎の発がんは年齢に関係ない」のに対して「C型肝炎の発がんは高齢者に多い」傾向にあります。横浜市の場合、C型肝炎の患者数は、70歳以上 10,500人、66-70歳 3,800人 61-65歳 2,200人と年齢が低くなるに従って、患者数が減っています。この傾向は横浜市に限ったことではありません。高齢者にとっては、C型肝炎の感染は命取りになりかねない恐ろしい病気です。事実、原因別肝がん死亡の主体は、C型ウイルス陽性が80%、B型ウイルス陽性が15%、その他5%となっています。

■C型肝炎の病態
C型肝炎の感染経路を見ると、主たるものは体液や血液を介しての感染です。以前は、感染している人の血液を用いた輸血、血液製剤の使用、医療機関での注射器の回し使用などが問題になりました。この点は改善され今ではありません。一方で現在深刻な問題は次の行為です。

1)覚せい剤を打つなど注射器の使いまわし

2)入れ墨を彫る

3)十分に消毒されていない器具を使ってピアスの穴をあける

4)母子感染(感染率は低い)

母子感染は別にしても、個人の責任に係ることばかりです。C型肝炎のリスクがあることを認識する必要があります。肝臓がんの多くはB型・C型肝炎ウィルスの感染ををもとに発生しており、C型肝炎ウイルス(HCV)は、肝臓がんの原因の約70〜80%を占めています。そのため、まずはこういった肝炎ウィルスにかからないようにすることが必要です。

C型肝炎の経過と肝線維化ステージの関係をみると、線維化進展スピード/年をF1〜F4まで表しますが、もし肝炎治療をしないと10年で1段(例えばF1からF2へ)線維化が進み、一方でIFN治療によりウイルスが駆除できれば、4年で1段線維化が改善されます。つまり、C型肝炎を放置すると肝がんへの階段を上っているようなものです。感染が疑われたら、速やかな専門医の受診をお勧めします。

■C型肝炎の治療
C型肝炎の治療方法は、イ)C型肝炎ウイルスを排除 ロ)炎症・線維化を抑え、肝がんへの進展抑制の方法があります。イ)は、インターフェロン+リバビリンが、ロ)には、インターフェロン少量長期、ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン製剤などです。C型肝炎ウイルス排除には現在の治療法以外になく最も有効な方法と考えられています。市民総合医療センターでペグインターフェロン・リバビリン併用療法を受けた223名の患者のうち、約62%の患者が治癒(著効)した実績があるそうです。

インターフェロン療法は、一度で終わりではなく定期的な検査を行い、継続して治療する方法です。それだけに新たな治療法、薬の開発が待たれています。現在有望視されている薬は、1)プロテア-ゼ阻害剤 2)ポリメラーゼ阻害剤 3)新たなインターフェロン製剤です。このうち、プロテアーゼ阻害剤のひとつ、Telaprevirは2012年までに保険適用になる予定です。治療期間が24週間と短くなり、効果は20%アップで、難治性(1高ウイルス量)でも約70%治癒できると言われる、現時点では最も有望な新薬です。

肝がん撲滅の第一歩は、何と言っても肝炎ウイルスの検診です。感染しても早期発見であれば肝がんを防ぐことができるかもしれません。少なくとも抑制は可能です。検診率の向上が待たれるところです。また肝臓がんの多くの場合は肝硬変を経て肝臓がんになることから、肝硬変にならないように食生活、生活習慣に気をつけることも大変重要なことです。

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