ウーマンアイ 子宮頸がん ワクチン助成が普及の焦点

ウーマンアイ 子宮頸がん ワクチン助成が普及の焦点

若い女性に急増中の子宮頸がんを大幅に減らすと期待され、2009年末から自費での接種が始まった子宮頸がん予防ワクチンの普及が進まない。半年間に3回接種が必要で費用は5万円前後という負担の重さがネック。厚生労働省は公費助成の検討に着手したが、いつ結論が出るかは見通しにくい。性体験前の若い年齢での接種が最も有効なため、思春期の娘を持つ母親は「すぐ打つか、助成を待つか」で悩んでいる。

 10年5月13日。栃木県大田原市郊外にある市立金丸小学校に全国の注目が集まった。小6女児へのワクチン集団接種の、初の実施校になったからだ。

 がんの原因のヒトパピローマウイルスは性交渉で感染する。このウイルスの感染を防ぐワクチンの登場を受けて日本産科婦人科学会などは09年10月、11~14歳の女子には公費で接種すべきだとの声明を発表した。

 だが、どこも財政難の行政の動きは鈍かった。10年5月下旬までに約60の自治体が助成を決めたとされるが、全国1750市区町村のごく一部。厚労省予防接種部会での議論も緒に就いたばかりだ。

 そんな中で大田原市は、接種率を高めようと小学校での集団接種に踏み切った。推進したのは前市長の千保一夫氏。3回の接種に連れていく保護者の負担や、娘の性交渉というデリケートな問題に「父子家庭が対応できるか」との懸念などに配慮し「市の責任でやろう」と決断した。対象女児の保護者の99%が集団接種を希望したという。

 中学1年の一人娘(13)を持つ大石多歓子さん(54)=東京都杉並区=は、大田原市のような学校での接種が「一番助かる」と話す。自身は、子宮頸がんに進行する可能性もある「前がん病変」の疑いを婦人科で指摘され、経過観察中。娘には予防させたい。幸い、杉並区は中1女子へのワクチン全額助成を決めたが「なぜこういう措置が全国一律じゃないの?」と疑問に感じている。

 東京で助成のない区に住む主婦(48)は、どうするか迷っている。中3の娘(14)の性体験はまだまだ先のように思うし、5万円は「ちょっとたじろいでしまう額」だ。娘の学校のPTA仲間とは「助成が出るまで待ちたいね」と話すという。

 悩む母親らに、ワクチンに詳しい吉川裕之・筑波大教授(周産期医学)はこう言う。「国の助成の検討には時間がかかる可能性があるし、娘の性体験の時期を親が予測するのも難しい。なるべく早く受ける方がいい」

 ただ、ワクチンで防げるがんは最大でも70%とされ、検診による早期発見が制圧には不可欠だ。自治体検診が20歳から受けられ、早く見つければ子宮温存も可能。なのに検診への理解は進んでいないと、子宮頸がん啓発に取り組む「ティール&ホワイトリボンプロジェクト」理事長の河村裕美さん(43)は心配する。1999年にがんで子宮を摘出し、今も排尿障害などの後遺症に悩む。

 日本の子宮頸がんの検診受診率は20%台で、欧米の70~80%に大きく劣る。「このままではワクチン接種が進んでも、がんを完全にはなくせない。両方を推進する政策を」と河村さんは訴える。

 子宮頸がん 子宮の入り口付近にできるがん。国内で年に推定約1万5千人が発症し約3500人が死亡する。20~30代の発症率が過去20年で2倍以上に増え、この年代で最多のがんになった。性体験の低年齢化などが理由とみられる。販売中のワクチンは英グラクソ・スミスクラインが開発、がんの約70%の原因になるウイルスの感染を防ぐ。別の会社のワクチンも2010年中に承認の見通し。

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