妻のがん越え開業1年 訪問看護経営の夫婦 三木

妻のがん越え開業1年 訪問看護経営の夫婦 三木

夫婦で設立した訪問看護ステーションの経営が軌道に乗り出したころ、妻に大腸がんが見つかった。三木市口吉川町の東(ひがし)洋一郎さん(60)と保子さん(61)は、経営難や手術を乗り越え、事業所は開業1年を迎えた。「家内がいなくなると、自分に何の支えもないと知った」と洋一郎さん。保子さんは「大切さを思い知った?」と笑う。新たな1年も、支え合って歩む。

 看護師の2人は1971年に結婚。93年から兵庫県内の別々の病院で働きだした。ともに退職後の昨年6月、医師の指示で在宅患者を看護する訪問看護ステーション「みなぎの」を同市吉川町に開いた。保子さんが所長で、洋一郎さんが運営する社団法人理事長に就任した。

 最初の2カ月は依頼がなく、貯金を取り崩した。慣れない経営のことで、けんかも絶えなかった。市内の事業所を回って周知し、最初の依頼があった。夫婦で喜んだ。

 利用が増えてきた昨年11月、健康診断で保子さんにがんが見つかった。精密検査も悪性。「やっぱり悪いわ」。妻の電話に、洋一郎さんは言葉が出なかった。夜、洋一郎さんは「(事業所を)たたまんと、しゃあないな」と切り出した。

 しかし、生活保護を受けている利用者が「手術代に」とお金を握らせようとしてくれた。「手術の日は、朝から拝んどったる」と声をかけてくれる人もいた。洋一郎さんは「身内以上に励ましてくれた。自分らの都合だけでやめるわけにはいかなかった」。

 1月、手術は成功。9日間の入院中に、長女から結婚の報告を受けた。「本当に、いろいろあった1年」と保子さんに笑いかけられ、洋一郎さんが感慨にふけった。「家内が元気だから、けんかもできる。何年か後、2人で『あのときは大変だったけど、よく頑張ったな』と振り返りたい」

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