悼む:末期がんのアマチュア落語家、街道徳尾さん=5月19日死去・39歳

悼む:末期がんのアマチュア落語家、街道徳尾さん=5月19日死去・39歳

 ◇余命を落語にささげ--街道徳尾(かいどう・のりを)さん=十二指腸がんのため5月19日死去・39歳
 会うたびにやせ細り、最後の取材となった昨年末には「携帯電話が重い」とこぼしていた。168センチの長身ながら、体重は30キロ台と往時から半減。それでも高座を心待ちにし、ベッドで台本を読み返していた。「落語に生きる希望をもらったから、多くの人に笑いを届けて恩返ししたい」

 36歳だった2007年夏、末期の十二指腸がんで「余命数カ月」と宣告された。半年間は自室に引きこもり。絶望していた時、初めて生の落語を聴いた。「落語の登場人物のように、残された人生を楽しく生きられたら」と思い直した。福井県鯖江市から大阪市へ片道3時間、落語家養成講座に通い始めた。両親ら家族に支えられ、月2回のけいこに1年通い、入門と中級を修了。桂三枝・上方落語協会長から高座名「天神亭楽々」を授かった。

 小学校や老人施設、がん患者会などで公演した。噺(はなし)の枕に闘病体験を織り込み、生きる勇気を笑いで届けた。薬の副作用で言葉に詰まったり、会場に向かう途中で倒れることもあったが、痛みをこらえ高座に上がり続けた。養成講座を主催した天満天神繁昌亭の恩田雅和支配人(60)は「芸の完成度は低くても、高座で生きざまを見せるのは落語家の大切な要素。街道さんは落語家を全うされたと思う」と話す。

 鯖江市で営まれた葬儀には、古典落語「道具屋」を披露する映像が流された。ひつぎには愛用の着物や扇子のほか、22羽の折り鶴が納められた。街道さんが昨年、落語を教えた同市立北中山小の6年生が折って届けたという。「命が消えた後、忘れ去られるのが怖い。みんなの記憶の中で生き続けたい」と話していた街道さん。命を削りながら務めた高座は、多くの人に鮮烈な記憶を残した。

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