がん難民つくらない  

がん難民つくらない  

ことし4月の独立行政法人化に伴い、国立がん研究センター (旧国立がんセンター)の理事長に就任した嘉山孝正氏がこのほど「がん難民をつくらない」を筆頭に、新しく策定したセンターの「使命」を発表した。
 「再発したり、がんが進行して積極的治療が受けられなくなったりした患者の受け入れには消極的」などと一部に批判もあったセンターの在り方を、転換するものだ。
嘉山理事長は「治療成績が全国びりでも構わない。都道府県のがん(診療連携)拠点病院で標準的な医療をしっかりやっても治らない患者を、がんセンターが引き受けますよという旗を掲げる」と表明。「その代わり、適用外の薬を使うわけで、国民にも協力してほしい」と付け加えた。
 7月からは従来のセカンドオピニオン外来とは別に、治療について悩みや疑問を抱えた患者や家族が、専門の医師だけでなく看護師ともじっくり対話しながら答えを模索する「がん対話外来」を開設。患者とのコミュニケーションを通じて「見捨てられた」と感じる「難民」を解消することを狙う。
 情報の共有も重視する。センターは全国の特定機能病院で初めて、すべての診療科の治療成績の公表を始めた。病名や進行度ごとに症例数、治療後の生存率がインターネット上で確認できる。
 センターで行っている未承認薬や適用外の薬の臨床試験についても、診療科ごとに対象疾病、薬の名前や、試験の責任者名をすべて公表し、参加を望む患者の参考にしてもらう方針だ。
 「使命」はほかに、がんの診断・治療情報を収集し研究や政策立案に生かす「がん登録」を、患者に直接的な利益を与える仕組みに変え、登録数の増加につなげることも挙げている。
 自治体が主体となった現在の「地域がん登録」の課題は登録率の低さ。新たな取り組みでは、例えば拠点病院が患者の登録情報をもとに現在の治療が適切かどうか個別に伝えるなど、患者に登録の”見返り”を与える。これによって医療機関の参加を患者が後押しする素地を整える考えだ。
 嘉山理事長は「(現在は)どういう薬がどれくらいの患者に使われているか、がん難民が何人いるかのデータもない。医療を行き渡らせる基本はここなのに」と指摘する。1年以内の登録制度改革を目指し、厚労省と調整を進めているという。

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