がんを生きる:/75 専門看護師への道/下 医療現場の“接着剤”に /大阪

がんを生きる:/75 専門看護師への道/下 医療現場の“接着剤”に /大阪

◇全国で193人、広がり不十分 医師・薬剤師含め、プロ目指し5大学連携
 がん患者のためにできることは何か--。看護師の仕事を休職、退職し日本看護協会の認定資格「がん看護専門看護師」(OCNS)を目指す大阪大学大学院「OCNSコース」(吹田市)の1、2年生7人。同協会はOCNSを「がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する」と定義。実際のOCNSは、仲間の看護師にがんの知識や対応を教育▽医師には話しにくい患者の相談に乗る▽がん特有の対応困難な苦痛症状をケアする▽倫理的葛藤(かっとう)について関係者間で調整--といった場面で活躍しているという。

 ただ、実際のOCNSは全国で193人、府内で16人(共に6月1日現在)。日本看護協会は「広がってきたが、まだ十分とは言えない。がん診療連携拠点病院には100%いることを目指したい」としている。

 大阪大学では、OCNS不足、緩和医療などの専門医不足、一般臨床医の知識不足などを解決しようと、兵庫県立大▽和歌山県立医科大▽奈良県立医科大▽京都府立医科大と連携し、08年に「がんプロフェッショナル養成プラン」(がんプロ)を開始。OCNSコースの他、医師や薬剤師ら向けのコースがあり、座学や病院実習で各分野の「がん医療のプロ」を目指す。

 大阪大学OCNSコースの大石ふみ子特任教授(44)と葉山有香特任講師(33)は授業とは別に、学生を患者会の活動に積極的に参加させている。「資格は始まりに過ぎない。学生には一人の人間として患者さんと接し、『その人らしい生き方』や『日常生活』に学び謙虚になってほしい」と考えるからだ。

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 学生を取り巻く環境は厳しい。近畿大学医学部奈良病院(奈良県生駒市)などは経済的支援制度を設置して進学者をサポートするが、同様の制度が無い病院も少なくない。

 またOCNSは業務独占資格ではない。学生には「資格の価値を病院がどう考えてくれるのか」、「がん患者だけを専門にケアできるのか」などと職場復帰後の不安もある。兵庫県立大学看護学部の内布敦子教授は「見える形で実績を重ね、ポジションを勝ち取ってほしい」と話す。

 5大学のがんプロ責任者で大阪大学大学院医学系研究科の松浦成昭教授(58)は「一番患者に近い看護師がさまざまな職種がいる医療現場の『接着剤』になり、チーム医療をうまく機能させてほしい」と期待する。

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