社説:子宮頸がん予防 対策の指針づくり急げ

社説:子宮頸がん予防 対策の指針づくり急げ

子宮頸(けい)がんを予防するワクチン接種が国内で昨年12月に承認されたことを受け、全国の自治体で接種に助成する動きが広がっている。県内でもこれまでに7市町村が助成を決めたが、額も対象年齢もまちまちなのが実情。助成を決めかねている他市町村への対応や県民への啓発も含め、予防対策を実効あるものとするには県の指針づくりが急務といえよう。

 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症する。性交渉を通じて感染するため、予防には若年層へのワクチン接種が有効とされ、日本産科婦人科学会などは11〜14歳を中心にワクチン接種を奨励している。ただし、費用が3回接種で5万円前後と高額なのがネックで、接種率を上げるには公費負担が欠かせない。

 厚生労働省は公費助成の検討に着手したばかりだが、全国では既に本格的な予防対策に取り組む自治体も増えつつある。

 山梨県では県と市町村が協力し、小6と中3を対象にワクチン接種をほぼ全額助成することで全27市町村が足並みをそろえた。栃木県大田原市は、全額助成で小6の集団接種に踏み切った。子宮頸がんは「予防可能ながん」とも言われるだけに、ワクチン接種が有効な年齢層に対しては迅速な対応が必要との判断によるものだろう。

 県のまとめによると、県内でも由利本荘市と潟上市が本年度当初予算にワクチン接種の助成費を計上。さらに、にかほ市や美郷町など5市町村が6月補正で助成費を盛り込んでいる。財政難の中、予防へ前向きに取り組んでいる市町村があることは大いに評価したい。

 だが、各市町村の助成対象は10〜45歳だったり、中学生のみだったりとばらつきがある上、助成額も全額や3分の1などまちまちとなっている。県民からは「命にかかわる制度がなぜ一律でないのか」といった疑問の声も聞かれる。助成が未決定の市町村では「娘にすぐワクチンを接種させたらいいのか、助成を待ったらいいのか」と悩んでいる親も多いに違いない。

 本県として子宮頸がんの予防対策をどうするのか。その指針と仕組みづくりにおいては、やはり県の指導力が強く求められる。6月定例県議会で佐竹敬久知事は、ワクチン接種への助成について「国の動向を注視し、医師会や市町村の意見も踏まえて検討する」と述べたが、国の方針を待つのではなく、県の対応を固めて国に積極的に要望していくべきではないか。

 ワクチンを接種したからといって、子宮頸がんが完全に予防できるわけではなく、その後の定期検診が制圧の鍵を握る。がんによる死亡率が13年連続で全国ワーストとなっている本県にとって、受診率向上は最重要課題の一つ。子宮頸がんに対して関心が高まってきたことは、がん予防全体の啓発活動の盛り上げを図る好機でもある。

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