がんを生きる:/76 希少がん/上 対策も置き去りに /大阪

がんを生きる:/76 希少がん/上 対策も置き去りに /大阪

 ◇標準治療なく 患者会設立、改善訴え
 血液のがん「悪性リンパ腫」患者の松原良昌さん(67)=堺市=の自宅を久しぶりに訪ねた。2年前の夏に知り合い、この連載には5回も登場してもらった。全身にあったがんは08年11月の検査で見えなくなり、今もその状態を維持しているという。

 最近の調子を聞くと、「体調が良くて…」と笑顔で前置きし、全国を活発に飛び回る様子を話し始めた。がんの講演会での司会や講演、昨年始めたがん患者会の活動、出産が近い一人娘に会いに行ったこと--。想像以上に元気で、うれしかった。

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 「名刺代わりに使ってるんですよ。これを見せると信頼してくれるし、話が早い」

 松原さんが5回の連載のコピーを示した。がん告知や治療などの経緯が詳しく書かれ、見出しには「大阪-東京 飛行機通院」「あきらめてはいけない」「完全寛解 妻と乾杯」「患者には時間ない」などの言葉が並ぶ。

 最初は、取材を受けるかどうか迷ったが、今は新聞に載って良かったと思っているという。「明るく、強く、がんを生きる。『がんを生きる』という連載に載ったのだから実践しなくちゃいけないと、責任を感じています」と話す。

 松原さんが今、最も力を入れて活動するのが、患者数の少ない「希少がん」対策の充実だ。がん患者全体の7割弱を占める肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がんの5大がんは重点的に対策が取られ、治療法は急速に進歩した。一方、希少がんは対策が遅れ、標準治療が確立していないものも多いという。

 自身のがんも希少がんに含まれる。医師に「非ホジキンB細胞濾胞(ろほう)性悪性リンパ腫」と告げられ本やインターネットで調べると、標準治療がなく完治は難しいとされていた。

 がん患者会を設立したのは、希少がんが置き去りにされている実態を思い知らされたからだ。現在、患者会の会長として国会議員や厚生労働省に改善を求めているが、「希少がんについて言うと、7割の人が逃げていく」と言われる。他のがん患者会のメンバーと話していても、「5大がんの対策さえ十分ではないのだから、希少がんについてはあまり言ってほしくない」という感触だという。

 だが、希望は感じている。国立がんセンターは今年4月、独立行政法人化して国立がん研究センターとなり、6月に理念・使命を発表した。「使命1」として、「がん難民をつくらない」ことを掲げ、難治性がんの治療を担うことを宣言したのだ。【根本毅】

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