中島梓:ジャズピアニストとして録音したCD発売--がん治療中の死去1カ月前に録音

中島梓:ジャズピアニストとして録音したCD発売--がん治療中の死去1カ月前に録音

 ◇「ザ・ラスト・ライブ」--苦しみを音楽で昇華した生命感も
 多才な創作活動で知られ、2009年5月26日に亡くなった中島梓(栗本薫)が、ジャズピアニストとして録音したCD「ザ・ラスト・ライブ」(天狼プロダクション)が発売された。【川崎浩】

 中島は作家として、群像新人文学賞(評論部門)の「文学の輪郭」や江戸川乱歩賞の「ぼくらの時代」、SFファンタジー「グイン・サーガ」シリーズなど極めて多岐にわたる分野で活躍したが、音楽にも造詣が深く、長唄や津軽三味線までこなした。特に4歳から親しんだピアノはプロ級の腕前で、晩年は島津健一についてジャズを学んでいた。

 CDは、亡くなるほぼ1カ月前の09年4月12日、東京・赤坂のライブハウス「リラキシン」で行われた中島最後のライブ。関係者が簡易録音していた。07年にすい臓がんの手術を終えたものの、肝臓への転移が発見され、治療中のライブとなった。

 メンバーは、ベース加藤真一、ドラムス岡田佳大。本邦指折りのミュージシャンであり、中島の初ジャズライブ時のメンバー。その時に演奏した「朝日のように爽(さわ)やかに」も収められており、中島がこのライブに込めた思いがしのばれる。

 収録曲はほかに、「ジャンゴ」「レフト・アローン」などスタンダードや「センチメンタル・ワルツ」「ブラック・ローズ」など中島のオリジナルが中心。「ブラック……」では、中島の詩を歌手の水上まりが朗読する。

 演奏は、中島らしいひねりのきいたユーモアや若々しい軽やかさが個性となり、末期がんの苦しみを音楽で昇華したような生命感まで漂う。音質は良好とはいえないが、一時代を築いた作家の余技以上の価値を持つ記録といえよう。

 発売は、中島作品のネットショップ「梓薫堂」(http://shikundo.ocnk.net)のみの取り扱いとなる。2500円。

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