子宮がん、婦人科検診と  子宮がんワクチンに関する誤解について

子宮がん、婦人科検診と  子宮がんワクチンに関する誤解について

厚木医師会 田中クリニック
 先般子宮がん予防ワクチンの接種が始まり、話題になっていますが、それに関して若干の誤解をされているケースがあるようなので、今回はその“誤解”の部分と、大切なことなので“検診”のことについてもお話しします。

 まずこのワクチンは子宮頸がん発症の原因となるハイリスクのヒトパピローマウイルス(15種類あります)のうち16型と18型の2種類に対するワクチンであり、その2種類の全体に占める割合は、日本人の場合60%(欧米では70%)なのです。

 つまり、全ての発がんウイルスをカバーするものではないということです。このワクチンは31・33・45・52・58にも効くというデータもありますので、それを足したとしても残りの30%弱のウイルスには無効ということになります。またワクチンの有効期限は現時点では20年間といわれていますが、まだ使い始めて6年余しかたっていないため確認されたデータではありません。したがって「このワクチンを打てば一生子宮頸がんにはならない」という認識は確実なものではありません。

 もうひとつ大事なことは、このワクチンを性交渉開始前に打つことは全く問題ないのですが、それ以後の場合、正確には(少なくとも20歳以上では)がん検診をして異常なしであることを確認してから打つべきものであって、もしすでに「要精密検査」以上でひっかかっている方にはワクチンは無効であるということです。

 これらの部分を理解されずにワクチンを受け、以後もし検診を受けなかった場合、とても危険なことが予想されるため、産婦人科の医師たちは心配しています。

 次に、時々検診に対する認識が不十分なため起こる出来事がありますので説明します。子宮がん検診は原則としてがんの有無を診るもので、婦人科検診は同時に内診や超音波検査で卵巣腫瘍(卵巣がんも含めて)や子宮筋腫などの有無を診るものです。子宮がん検診のみの場合、ときとして他の異常が積極的に発見されないことが無いとはいえません。そのため、がん検診では異常なしでも、下腹部の痛みや不正出血などがある場合は、あらためて婦人科を必ず受診された方がよろしいと思います。

 昨今、産婦人科医師の不足も問題になっています。時代は早期発見、早期治療の予防医学の時代。それが一番経済的にも負担が少ないのです。日本は先進諸外国に比べて検診の受診率が低いのです。その理由として「はずかしい」「抵抗がある」なども一部にはあるかもしれませんが、是非今年からは婦人科を積極的に受診し、早期に病気を発見、治療する時代になることを祈ってやみません。

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