終末期がん患者の看護モデルを研究

終末期がん患者の看護モデルを研究

◇◆県立看護大の森助教◆◇

 在宅での緩和ケアを望む終末期がん患者のために、県立看護大学の森京子助教(成人看護学)が新しい看護のモデル作りに取り組んでいる。これまで、現場での聞き取り調査を基にした実践例などを具体的に示したモデルはなかったという。看護現場での調査を重ね、患者の意思に沿えるような新しいモデルの提案をめざす。(安田琢典)

 県内の医療機関で4年間、看護師として勤務した経験がある森さんは、「自宅に帰りたい」と訴える終末期のがん患者を数多く見てきた。だが、在宅緩和ケアに移行する前に亡くなるケースも少なくなく、悔しい思いをしたことがたびたびあった。

 「患者が本当はどうしたいのかを決めるのに、看護師としてもう少し早く接して支える必要があった」という反省から、2008年12月からの8カ月間、県内の総合病院で、在宅緩和ケアへの移行を希望した4人の終末期がん患者にかかわった約30人の看護師に、聞き取り調査をした。

 さらに、病棟での患者とのやりとりを見たり、看護師らの打ち合わせにも参加したりした。その結果、終末期のがん患者と接する際のポイントとして、患者が最期の生き方を自分で選べるように支えたり、患者が望む過ごし方を病院側と在宅側のチームがお互いに具体的に伝えることなどが重要だと考えた。

 厚生労働省が08年3月に実施した「終末期医療に関する調査」では、終末期における療養の場所として、「自宅」や「原則的に自宅で必要があれば緩和ケア病棟や医療機関」と答えた割合は計63・3%。ところが同省の08年の人口動態統計では、自宅で亡くなった人はわずか12・7%だった。

 国内では岡山県や長崎県、宮城県など積極的に在宅緩和ケアを実施している地域があるが、在宅で治療する方法そのものが定着していない地域もある。背景には、24時間態勢で診察できる開業医や訪問看護師の不足、モルヒネなどの鎮痛剤を扱う薬局が少ないことなどがあるという。

 07年4月に施行されたがん対策基本法に基づき策定された「がん対策推進基本計画」は「すべてのがん患者およびその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」をうたっていて、患者の意思が重視されるようになった。

 森さんは今後、聞き取り調査のデータを基に、看護を実践する際の重要事項や看護師の意識のあり方などを、体系的にまとめる予定で「終末期のがん患者に対する看護の質の向上につなげたい」と話している。

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