明細書で「がん」判明も 診療報酬改定で

明細書で「がん」判明も 診療報酬改定で

 4月の診療報酬改定に伴い、多くの医療機関で治療や検査の詳細を記載した明細書(明細付き領収書)の発行が義務付けられた。情報開示が目的で、医療の透明化が期待されるが、がんなどの告知を受けていない患者が明細書で病名を知る可能性から、影響を予想する声もある。
 対象となるのはレセプト(診療報酬明細書)の電子請求が義務付けられている医療機関で、病院の9割以上。患者が必要ないと申し出ない限り、無料で発行される。
 明細書には治療や検査名、注射・点滴の薬剤や量、診療報酬点数などを記載。がんの検査や治療でも、腫瘍マーカー検査で「悪性腫瘍特異物質治療管理料」、痛みを抑えるモルヒネの投与で「がん性疼痛緩和指導管理料」などと書かれる。
 厚生労働省は「病名が分からないよう明細書の表現を変えても構わない」(保険局)とするが、対応は医療機関に任された形になっている。
 山王病院(東京都港区)では、医師が「病名を伏せているので明細書を発行しないでほしい」と指示した場合は発行をやめ、理由を聞かれたら「医師から説明がある」と答えている。すでに発行をやめた例がある。
 2003年から自主的に発行しているトヨタ記念病院(愛知県豊田市)は、当初、悪性腫瘍と書かれた明細書を見た患者から問い合わせがあったため、それ以降は「悪性」の文字を消している。最近は、病状が進んでいたため開腹だけでがんの摘出ができなかった患者の家族から、こうした場合に記載される「試験開腹術」の表現を変えてほしいとの依頼があった。
 ただ「通常は告知が基本で、薬からも病名は調べられる。言わないのは家族の依頼があった場合などまれで、大きなトラブルは起きていない」という。
 中央社会保険医療協議会(中医協)委員として患者の立場から発行を求めてきた勝村久司さんは「病名を知らされなければ、セカンドオピニオンを受ける選択肢さえなくなる。治療の内容を知るのは大前提だ」と話す。
 一方、医療関係者からは「知りたくない患者の権利や、本人以外にプライバシーが知られる問題などもあるため、検証して必要なら修正を加えるべきだ」(国立がん研究センターの嘉山孝正理事長)などの指摘も。
 全国自治体病院協議会の辺見公雄会長は「隠していて、後で分かれば信頼感がなくなり、病名を消しても『何で消したのか』と言われる。今後は告知する医師が増えるのではないか」とみる。

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