在宅ホスピス、実体験基に紹介 尼崎の開業医出版

在宅ホスピス、実体験基に紹介 尼崎の開業医出版

尼崎市の開業医で、患者が自宅で最期を迎えられるよう「在宅ホスピスケア」に取り組む桜井隆さん(53)の著書「大往生なんか、せんでもええやん!」が、出版された。3人の患者との出会いから別れまでが読み物風に書かれ、実際に患者やその家族に役立つ情報も。桜井さんは「住み慣れた家での最期を選択した人と、それを支える人の道しるべになればうれしい」と話す。(片岡達美)

 桜井さんは1981年、群馬大医学部を卒業後、兵庫医科大内科、大阪大医学部整形外科勤務を経て92年、尼崎市武庫元町で内科、整形外科の「さくらいクリニック」を開業。以来、在宅で250人以上をみとってきた。在宅ホスピスケアを支援する地域ネットワークの代表も務める。

 本に登場するのは、近くに住む娘宅で亡くなる「おしずさん」と、近所の人に支えられた“男おひとりさま”の「吾朗じいさん」、認知症になって娘の家で亡くなった「まやばあさん」。桜井さんとの会話が軽妙だ。

 3人は桜井さんが診てきた患者の症状や家庭の事情などを合わせて作ったキャラクターだが、一つ一つの出来事はすべて体験に基づいているという。

 桜井さんは「意外だった」と話すが、複数の年配の読者から「情報が役に立った」という感想が寄せられた。在宅ホスピスケアを受けるにはどこに相談に行けばいいのか、独り暮らしでは無理なのか‐など、「皆さん、取っ掛かりの部分で不安や疑問を抱えている」。

 東京などでは終末期を専門の医師に任せるシステムが定着しつつあるが、関西、特に阪神間には午前中に外来患者を診察し、午後は同じ医師が訪問診療する「外来・在宅ミックス型」の診療所が多い。「通院できなくなっても、在宅でケアできる。患者さんにも安心してもらえる」と、その役割を説明する。

 患者の地域性や家族構成など、事情はさまざまだが、「終末期を迎えた患者さんの意思ができるだけ尊重され、死という最終目的地にふわっと着陸できるように手助けしたい」と語る。

 「大往生」でなく、じたばたする「往生際」であっても、患者に寄り添う治療を続けていく。「大往生‐」には、そんな思いが込められている。

 講談社刊、1575円。

【来月、西宮で記念講演会】

 桜井さんの出版記念講演会が8月28日午後3時から、阪急西宮北口駅南の西宮市男女共同参画センター「ウェーブ」で開かれる。資料代500円。定員45人。ファクスで住所、氏名、電話番号、終了後にある懇親会への参加の有無を書いて申し込む。NPO法人「アットホームホスピス」TEL0798・65・2201(ファクス兼用)

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