生きる:小児がん征圧キャンペーン 森山良子さんらチャリティーコンサート

生きる:小児がん征圧キャンペーン 森山良子さんらチャリティーコンサート

◆生きる2010 森山良子 with FRIENDS

 ◇歌声でエール
 東京都渋谷区のBunkamuraオーチャードホールで15日、チャリティーコンサート「生きる2010~小児がんなど病気と闘う子どもたちとともに~森山良子 with FRIENDS」(主催・毎日新聞社)が開かれた。このコンサートは今年で6回目。皇后さまも出席され、病と闘う子どもたちや家族ら約1800人が来場。森山さんや渡辺美里さんらが澄んだ歌声を響かせ、皆で合唱して会場が一体となった。【小泉大士、松本惇】

 午後6時半、森山さんのデビュー曲「この広い野原いっぱい」でコンサートは始まった。ステージには伸びゆく双葉の上にお日様を描いた「生きる」のシンボルマーク。紫のドレスを着た森山さんは「病気を乗り越えようとする気持ちが家族の結び付きを強くするのだと思います」と語りかけた。アコースティックギターを弾きながら、おなじみの「涙そうそう」を歌うと、招待された子どもたちも一緒に口ずさんだ。

 東京都小平市の中学3年、森星羅(せいら)さん(14)は「励みになるし、思い出にもなる」。兄の裕樹さん(24)は2歳8カ月で急性リンパ性白血病を発症。5歳で再発し、骨髄移植を受けた。今は福祉関係の大学を卒業し、介護士として働いている。

 星羅さんが、このコンサートに訪れたのは06年以来2度目。小学生だった前回とは違い、「コンサートの意味がよく分かった。会場の雰囲気もすごく楽しそうで、感じるものがあった」と話した。

 小児がんは15歳以下で発症するがん。医学の進歩で7~8割が治るようになったが、闘病には周囲の理解も必要だ。母洋子さん(48)も「こういう機会を通じて病気への理解が広がってくれれば」とうなずいた。

 昨年に続いて出演したシンガー・ソングライターの畠山美由紀さんは「若葉の頃(ころ)や」や「Diving into your mind」などを透明感あふれる声で歌った。

 同じくシンガー・ソングライターの村上ゆきさんは「1ミリのキセキ」などをピアノを弾きながら熱唱。「子どものころ、入退院を繰り返し、病院のベッドで夢を描いていた」と自らの経験を語り、子どもたちにエールを送った。森山さんとの共演では、森山さんの物忘れをちゃかして作ったタンゴ調の「Ale Ale Ale」を披露して笑いを誘った。

 男性5人組コーラスグループ「ル ヴェルヴェッツ」は、クラシックあり、ポップスありの選曲。滑らかで上品なハーモニーを響かせた。軽妙なトークでも会場を沸かせた。

 休憩を挟んで、皇后さまが訪れ、会場は大きな拍手に包まれた。皇后さまは笑顔で手を振り、客席の子どもたちを励ました。

 コンサートの後半で、ワインレッドのジャケットを着た渡辺美里さんが登場。初出演の「生きる」コンサートについて、「『生きる』というその言葉を発するだけで力がわいてきます」と語り、「10years」「BELIEVE」などを力いっぱい歌い上げた。

 その後、千葉県松戸市の小学4年、国井咲良(さら)さん(9)ら5人がステージに上がり、出演者に花束を贈った。咲良さんは5歳で小児急性リンパ性白血病と診断され、約10カ月入院した経験を持つ。森山さんは花束を受け取り、緊張気味の咲良さんの手をぎゅっと握りしめた。

 そして、渡辺さんのヒット曲「My Revolution」のイントロが流れる。会場からは歓声が上がり、盛り上がりは最高潮に。皇后さまも手拍子を取り、会場全体で合唱した。「♪夢を追いかけるなら たやすく泣いちゃだめさ」

 咲良さんの祖母春美さん(59)はステージの孫を見つめながら「発病から5年。こんなに元気になって」。不安で仕方がなかったころを思い出し、目頭が熱くなったという。

 森山さんが「また来年も元気な顔で集まりましょう」と締めくくりのあいさつ。続いて、アンコールに応えて、毎日新聞紙上の対談などで予告していた「マカロンズ」が登場した。映画「ドリームガールズ」をまねた森山さん、渡辺さん、畠山さんの3人がメンバー。ザ・シュープリームスのナンバーを熱唱し、2時間半のコンサートは幕を閉じた。

 会場で集められた募金は、コンサートの収益とともに、毎日新聞東京社会事業団の「小児がん征圧募金」に寄託された。

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 コンサート開催に対し、アフラック、協和発酵キリン、JR東日本、東日印刷、毎日ビルディングの各社からご協賛をいただきました。

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 ◇「パワーもらった」家族ら笑顔
 多くの患者や家族に楽しい一時を過ごしてもらい、未来への希望につながれば、との思いがコンサートには込められている。

 東京都港区の山下恵理さん(28)は小児がん経験者の会「フェロー・トゥモロー」のリーダー。急性リンパ性白血病を乗り越え、シンクロナイズドスイミングを教えている。「毎回、パワーとエネルギーをいただいている。もらったパワーを無駄にしないように、また明日から頑張りたい」と笑顔で会場を後にした。

 埼玉県所沢市の小学5年、横川勇輝君(10)は2歳のころ、網膜芽細胞腫(小児がんの一種)を患っていることが分かった。克服したが右目の視力が落ち、球技のプレーなどに支障があるという。「大変な病気で迷惑をかけたけど、家族が励ましてくれる」

 コンサートの終盤、母陽子さん(38)が大ファンという渡辺美里さんに壇上で花束を贈った。「My Revolution」の合唱時には渡辺さんに肩を抱かれ、勇輝君は「一緒にこういうところに出られて、(観客が)手拍子してくれて、パワーをもらいました」。陽子さんは「出演者のメッセージが伝わってきてすごく良かった。何回も泣きそうになりました」と感激していた。

 ◇家族の負担軽減 ペアレンツハウス
 地方在住の子どもたちが大都市で治療を受ける場合は、長期間のホテル生活による家族への経済的負担が大きい。この治療環境を少しでも良いものにしようと、建設されたのが「ペアレンツハウス」だ。アフラックが資金提供した施設は東京都に2棟、大阪府に1棟あり、全国の多くの家族が利用している。

 各棟には、難病の専門知識を持つスタッフが配置されており、治療法や後遺症、治療後の生活などについての相談に応じている。

 宿泊費は1人1泊1000円(患者は無料)で、キッチンや子どもたちのプレールームも設けられている。問い合わせは電話03・5833・2860(月~土曜の午前10時~午後6時)。【藤田裕伸】

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 ◇募金にご協力を
 小児がん征圧募金を呼びかけています。送り先は〒100-8051 東京都千代田区一ツ橋1の1の1、毎日新聞東京社会事業団「小児がん征圧募金」係(郵便振替00120・0・76498)。お名前、金額などを紙面に掲載しますので、匿名希望の方は明記してください。

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