Dr.中川のがんから死生をみつめる:/68 早期発見の重要性

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/68 早期発見の重要性

人気バンド・サザンオールスターズ(活動休止中)の桑田佳祐さんが、食道がんの発見を理由に、ニューアルバムの発売を延期し全国ツアーを中止すると発表しました。まだ54歳。まさに青天のへきれきで、日本中に衝撃が走りました。

 なにを隠そう、僕もデビュー当時から桑田さんのファンで、カラオケで「いとしのエリー」や「チャコの海岸物語」などを歌っては、失笑をかっています。

 食道がんは、どちらかというと手ごわいがんといえます。食道の周りにはリンパ管が多く、胃や腸と違って臓器の外側を覆う漿膜(しょうまく)という「防波堤」もありません。このため、早い時期からリンパ節への転移を起こしやすく、周りの臓器に広がりやすいという特徴があります。治癒率は、良くなったとはいえ、全体では2~3割程度で、胃がんよりずっと低いのが実情です。

 食道がんの治療の中心は、なんといっても手術です。まず、胸を開けて、食道を取り除きます。そのままでは、食べ物の通り道がなくなりますから、胃を細い管状にして、首のあたりまで持ち上げ、口の下につなぎます。手術では首、胸、おなかの3カ所を開く必要がありますから、7~8時間に及ぶ「大手術」になります。手術後、社会復帰まで早くても3カ月はかかります。

 最近は、放射線治療と抗がん剤投与を同時に実施する「化学放射線治療」でも、手術に匹敵する治癒率が得られるようになっています。ただし、メスは入らないものの、放射線と抗がん剤を併用するため、治療中の副作用はかなりのものです。

 一方、早期発見であれば、内視鏡だけでがんを完治させることもできます。がんは臓器の表面から発生しますから、本当に早期の場合、食道の内側からがんの部分だけを切り取ることができるのです。これなら治療に1時間もかかりませんし、痛みもほとんどありません。

 他の大半の臓器と同様、早期の食道がんは、ほとんど症状がありません。桑田さんの場合、「検診で発見された初期の食道がん」と報道されています。治療法はともあれ、完治を心から祈っています。

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